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利益倍率の意味について


利益倍率は会社の利益成長ストーリーに従って形成される

例えば、
医薬品業界における証券アナリストによる
向こう5年間の年平均EBIT成長率予想を横軸に、
現在の株価と今期の予想EBITから計算される
(会社総価値を予想EBITで割った)EBIT倍率を縦軸にとると、
一次回帰線はY切片を約8.3とする右上がりの直線となり、
相関係数の二乗(Rスクエア)は0.7と高い相関を示す

すなわち、
予想成長率0%、向こう5年間EBITが成長しない会社の、
EV/EBIT倍率は、今期予想EBITに対する倍率と同じで8.3倍となる

予想成長率10%では、
Bの今期予想EBITに対する倍率は回帰曲線から13.4倍となる
したがって、Bの5年後の予想EBITに対する現在のEV倍率は
13.4/(1.1^5)=8.3倍となり、Aの倍率と等しくなる

つまり、
一次回帰線上に並ぶ利益倍率とは、
その予想期間の末まで想定された成長が達成された場合に、
その予想最終年度における利益に対して、
現在のゼロ成長の利益倍率(に近い値)を適用したモデルである

ところで、
例えば20%以上等の高い成長率を5年間にわたって
実際に達成することには、低い予想成長率に比べリスクを伴うので、
直線回帰が与える利益倍率は、10%成長に比べて
やや保守的な値を与える

なお、
医療業界は新薬開発状況が公開情報として入手できるなど、
利益予想が比較的容易なので、
このように相関の高い一次回帰線を発見できる場合が多い


次回は、標準的な利益倍率について


参考文献
M&A最強の選択

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具体的な評価方法

M&Aにおいて使用される頻度の高い価値評価方法は
以下の3つであるとされる
類似会社比較法
類似取引比較法
DCF法

類似~に関しては、
類似する会社、取引の利益倍率に対象会社の利益を
かけたものが求める価値となる
しかし、完全に同質的な会社、取引は現実には存在せず、
したがって、近似が必要になる

ところで、買収プレミアムの扱い方が重要な点となる

類似会社比較法では、
MV4種類のうち、上場時価総額の推定値であるので、
買収プレミアムは含まれていない

類似取引比較法では、
買収プレミアムが反映され、M&A価値の推定値となる

最後にDCF法は、
スタンドアロン(支配権の移動がなく、独立した事業体として
現在のままの経営方針を継続する場合という意味)
のフルバリューであり、
上場価値よりは高くなるが、M&A価値とは異なる


次回は、利益倍率の意味について


参考文献
M&A最強の選択
↑のリンクにマウスを合わせると詳細が表示されます

株主価値について


株主価値として様々な数字を想定でき、
その1つが、時価総額である

時価総額=株式時価*発行済株式数

他に、IPO株式は、過去に流動性の実績がないため、
その分割り引かれ、通常資本市場では15%と言われている
また、未上場株式は、更に流動性が低くなる為割り引かれ、
IPO株式の割引率から類推して、20%程度とされている

一方、その会社の現在の経営方針における、支配権を含む価値は、
時価総額よりは高くなるのは自明である。
これはその事業会社の将来のキャッシュフロー(CF)の
現在価値の総和と等しく、これを
スタンドアロン(支配権の移動がなく、独立した事業体として
現在のままの経営方針を継続する場合という意味)の
ディスカウントキャッシュフロー価値
(DCF:Discount Cash Flow)と呼ぶ
その値は、一般的に時価総額の20~30%増しと言われている

さらに、M&A価値(買収者が見込むCFによる)が想定でき、
最近の市場の平均で25~50%程度が、買収プレミアムとして付される

したがって、DCF価値をM&A価値と比較すれば、
経営方針の変更などによる価値上昇を含まない分だけ、
DCF価値の方が小さくなるのは明らかである。

以上のように、株主価値には4種類の異なる意味がある。
同様に会社総価値(EV)についても4種の類型があり、
すなわち、単に企業価値といった場合には、
少なくとも8種類の異なる意味合いの価値が存在することになる


次回は、具体的な評価方法について


参考文献
M&A最強の選択
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